GEYSER大学生

コミュ障大学生が、金と女を「geyser=噴出」させる話。

ナンパ師 VS 就活生

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就職活動とストリートナンパを、天秤にかける。

微かな差だが、就職活動の方に傾いた。

 

時が経つにつれて、就職活動は肥大化し、ぐんぐんと重みを増していく。

 

気付けばナンパは、上皿から姿を消していた。

 

○就職活動を通して得たモノ

 

・自分自身に対しての深い理解

自分を知ること。自己分析。それは非常に難しいことだ。だからこそだろう、自己分析の重要性を多くの人が説いている。

「汝自身を知れ」

「自分のことすら理解できない人間が、他者を理解することなんてできない」

「全ては自己知から始まる」

これができていない者は、実はスタートラインにすら立てていないのかもしれない。そして、その事実にすら気付いていない可能性がある。

自己分析は、正直めんどくさい。今すぐに行わなければ前歯がすきっ歯になってその狭間からノドチンコが丸見えになる、といったようなリスクも無いため、緊急性が弱い。「いつかやらないといけないんだけど、別に今日じゃなくてもいいか。」と必然的に後回しにされるようなタスクである。

そこに緊急性をもたらしてくれたのが就職活動である。

自己分析で得たモノは、ナンパにおいてかなり有効に作用する。いや、ナンパだけに留まらず、人生をより良い方向へ導くためのコンパスとなるだろう。

 

・様々な業界の知識

今までただのクソガキ大学生だったため、社会人のお姉さんとナンパで対峙したとき、仕事をテーマにした深い話ができずに完全敗北を喫したケースも少なくはない。

時として知識は、深堀りや良き理解者像体現のための足がかりの一つと化す。一昔前流行ったボルダリングと同じで、使える足場が多ければ多いほどゲームの難易度は緩やかに下降する。

 

・バックボーンやストーリーの強さの再認識

ハイブランドに対する絶大な支持の裏側には必ずストーリーがあるという。デザインではなく、背景のストーリーに惚れ込んでいるのだと。

就活やナンパも同じである。現在の自分を、どんな過去によって魅せるか。過去〜未来まで筋の通った、ハワイ島の牧場のような一本筋を想起させることができる男は強い。

 

・笑顔の押し売り販売

後述するが、ある時を境に、会社は"笑顔・元気の押し売り"を求めていることに気付かされる。それに伴って笑顔を振りまくことを覚えた。このことは、意外にも日常生活をも好転させる。

  

○就職活動を、ざっくりがさつに荒々しく振り返ろうのコーナー!!!

 

・2月

 

とても大きな会場で行われる合同企業説明会に参加することにした。でもそれ以上に、俺の高鳴る気持ちは東京ドーム4個分だ。そう言い聞かせることで会場にマウントを取りながら当日のプランを考える。

スーツなんてとてもじゃないが着たくない、私服で参加しよう。そう思っていたところ、

「私服なんかで参加したら、SKE48須田亜香里ぐらい悪目立ちするぞwwwww」

同伴してもらう予定のkiさんに脅される。

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これだけは何があっても避けなくてはならない。気を引き締め直し、学習机の引き出しからスーツをおろす。3年前の大学の入学式以来かな?このグレーで無地のスーツとご対面するのは。

 

〜合同企業説明会当日〜

 

ブラック地に薄っすらとストライプの入ったスーツに袖を通し、会場に到着した。

どうやら、3年分のホコリで埋もれていたストライプが姿を現したようだ。チリツモの恐ろしさを肌で感じる。「塵を動かすことは容易いが、山になったソレはもう、ビクともしない」そんな誰かの、深いのか浅いのか分からない言葉を口ずさみながら会場を見渡す。

 

なんと。私服の奴らばっかりだ。

 

こいつらは本当に、就職する心づもりを持参してきているのか?ひょっとして、自分と参加した目的が同じなのだろうか?

 

そう。俺は、ナンパしにきた。就活生の皮を被った、包茎短小のナンパ師だ。

 

 

~合同企業説明会終了のサイレン~

 

自分たちは、とても高揚した様子で会場から出てきた。それは、即った後のアレととても似通っていた。

しかしその実態を聞いてみると、どういうつもりだ?

こいつら、0声かけで出てきやがったw

このとき背中に刻まれたナンパ師失格の烙印は、今も色濃く残っているに違いない。

 

でもそのときの自分からすれば、ナンパなんてどうでもよかったのだろう。

営業職に就きたい。そして早く社会に出て活躍したい。そんな気持ちが、山頂においての湖池屋のポテチぐらいパンパンに膨れ上がっていた。

「膨らみすぎて、いつか破裂してしまうのではないか?」

7合目までショートカットできるロープウェイの中からそんな声も上がってはいたが、当時の自分には聞く耳がなかった。

 

・3月

 

とにかく楽しい。なにもかもが新鮮だ。

様々な業界・企業の説明会に参加し、たくさんのはじめましてを繰り返す。

説明会に参加するたびに、人事に褒められる。

「キミ、なかなかオシャレだね」

「今どきの学生はこんなにスタイリッシュなのね?」

なぜか、自分だけがピックアップされて褒められる。

やっぱり、長年のストリートナンパで培ってきた"只者じゃない感"が抑えきれずあふれ出してしまっているのだろう。。。

 

・4月

 

学内の企業セミナーに参加する。

「なんかキミだけスタイリッシュだね?」

やっぱり、今日も人事から褒められる。俺も成長したなあ。。。

そんな優越感に浸っていると、学校の就職課のお姉さんに呼び出される。

なんだろう??告白でもされるのかな?やっぱり俺の満ち満ちたオーラに惹かれ......

 

姉「なんでそんなふざけたスーツ着てるの?」

G「.....え?」

 

確かによく見渡してみても、誰のスーツにもストライプは入っていない。自分だけ、明らかに悪目立ちしていた。他の誰でもない、就活界の須田亜香里に成り果ててしまっていたことに気付かされる。

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これだけは避けたかった、最悪の事態だ。

 

"只者じゃない感"とかドヤ顔していたのを思い出し、身体は驚くほどの熱を帯びていた。

 

急いで次の日、就活帰りの手コキシンガーNと共にリクルートスーツを買いに行く。

 

G「スーツだけじゃなくてリクルートカバンも購入する必要があるな」

N「確かに!」

G「Nが使い込んでるそのリクルートカバン、高級感あっていいな!それ、どこのブランド?」

N「あーこれ?GATSBY。」

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G「いや珍しいなwww洋服の青山とかじゃなくて? GATSBYって整髪料以外にも手がけてたのかよ。どこ目指してんだあいつら」 

 

オーソドックスなモノだけで一式を揃える。これで準備は完璧だ。

 

・5月

 

面接まで足を運ぶ企業は、スト値でいうところの6~7に絞っていた。

これは自分の学歴からすればかなりの背伸び。自分は偏差値が二桁に届かない。ただ、ナンパで鍛え上げたスキルだけで太刀打ちできると思っていた。今思えば、クヌギの樹液ぐらい甘いとカブトムシに叱られる可能性も否定できないぐらい浅はかな考えだった。

 

また、学校推薦の切符を使用して立ち向かおうとしていた爆乳スト9企業には、当然のように門前払いされてしまった。

 

ふと、13社ぐらい連続で落ちてることに気付く。しかもよくよく考えたら最終選考にすら進めていないぞwwwww

でも、妥協はしたくない。焦り始める。何事も、焦り始めるとおかしくなる。歯車が狂う音が頭の中に響き渡る。

今まで感じていた就活に対する楽しさなんてものは、だんだんと感じなくなってきていた。

そもそも就活には、フィードバックが無さすぎる。

自分が何故落とされたのか?その原因が分からないことほど苦しいものはない。出口の無いハンプトン・コート迷路に迷い込んだかのような感覚に陥る。

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ひでんマシン01を覚えさせた、イアイフレンドが恋しい。

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そんな時、ある企業から一本の電話が。

人事「先ほどは一次面接ありがとうございました。ぜひ二次面接に進んでいただきたいんですけども、その前に時間を設けて模擬面接をしてやろうか?」

G「ありがたすぎるwwwwww」

 

〜模擬面接終了後〜

人事「では、フィードバックをしていきますね」

G「よろしくお願いいたします」

人事「まず、語ってる内容は悪く無いんだけど、話の構成が悪いからもったい無い。そして何よりもキミ、ポーカーフェイスすぎるぞww」

G「え、TAVの岡田さんに"笑顔を安売りするな。お前はなんにでも笑うのか?お前の笑顔は、そんなに価値が低いのか?自分が本当に笑いたい時にだけ笑え。"って言われたので意識的にポーカーフェイスしてましたw」

人事「いやいや!!元気や明るさを体現してくれないと。ましてやキミは営業職を志望しているわけだよね?営業職志望ならなおさら、溢れんばかりの元気があるやつの方が魅力的に映るよ。そして、やっぱりたかが30分の面接では学生の全てを知ることなんて不可能なわけ。だから笑顔の表出がかなり重要になってくる」

G「確かにそりゃそうですよねwwwwwwwww」

人事「今のその表情すっごい良いよ!! イイ笑顔持ってんじゃん! もっとこっち見て?? キミはその笑顔をもっと前面に出すだけで印象がグッと良くなると思う!二次選考も頑張れよ!」

 

〜帰り道〜

G(なんか終盤、グラビア撮影してるカメラマンみたいなセクハラ発言も飛び出してきてたけど、それを差し引いた上でもめちゃくちゃ良い人だったな。今日で就活人生がガラッと変わるかもしれない。会社が求めているのは元気・笑顔の押し売りだったんだな。)

 

自分が提示しようとしていた価値と、会社が求めている学生像に大きな乖離があった。これでは受かるはずが無い。ナンパと同じだ。「ただ闇に寄り添って欲しい」と願っている女の子に対して、ひたすらボケ倒して"ひょうきんなオモロイやつ"を演出してもそれはただのマスターベーションに映り、即れるはずも無い。相手のニーズを認識し、そのニーズに寄り添える像を体現しなくてはならない。

就活においての俺は、会社が求めている像を知らず知らずのうちに曲解していた。

 

・6月

 

以前感じていた、就活に対する楽しさみたいなものを取り戻しつつあった。

笑顔を振りまくだけで、ポンポンと選考を通過する。

今まであんなに落ちまくっていたのが嘘のようだ。

ベジさんから直接、貴重なアドバイスをいただいたのも大きいだろう。

スト6から内定を得る。

もうここに決めてもいいかもしれない。

でも、一社だけ、どうしても諦めたくない会社の選考が残っていた。あとは、この会社だけにしよう。そう心の中で決めた。

 

・7月

 

その会社の説明会に参加したのは、実は4月の頃だ。

スト6の隠れ巨乳企業。

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スト9爆乳企業はもはや宝くじを買うような感覚で受けていたので、実質当初からの第一志望と言っても過言ではない。

4月の内に二次選考の案内がきたが、もっと経験を積んでから受けたかったので、無理を言って5月の下旬にまでもつれ込ませた二次選考。今考えればこの選択は間違ってなかった。"笑顔の押し売り"を取得していない状態で受けていたら、間違いなく落ちていただろう。

 

〜最終選考〜

いつも通り、自分の闇をさらけ出して、その闇とどう向き合ってきたか?どう乗り越えてきたか?を語る。そしてこの隠れ巨乳を、その延長線上に位置させる。芯のぶっとい一貫性を提示する。

この瞬間だけは、必ず面接官は前のめりになる。

学歴も無い、高校時代から部活にもサークルにも所属していない、理系でありながら研究での輝かしい実績も無い自分の、唯一の武器。

好感触だった。

手には、かすかな痺れだけが残っていた。

 

数日後、内定通知の着信が入る。

その電話の中で入社を即決した。

 

ふと、この隠れ巨乳の採用実績校を見直してみる。顔が青ざめる。MARCH以上と国公立しか記載されていない。

 

軽く見積もって20を超える偏差値の差www 

奇跡の滑り込み入社wwww

 

期待と不安が入り混じる。

期待2の不安8。

混ぜ合わさって完成した、不安強めの、ホロ苦く真っ黒なカフェオレを飲み干した先には、いったい何が待ち受けているのだろうか?

 

そこに立ち向かうために、一体どんな準備をすれば良いのか?

 

 

頭には、ストリートナンパしか思い浮かばなかった。

 

 

〜追伸〜

就職活動に臨むにあたって、たくさんのナンパクラスタの方から励ましや応援、アドバイスをいただきました。本当に感謝しています。ありがとうございました。